植物は、土の中に伸ばした根から水分と養分を吸収し、葉から吸収した二酸炭素と太陽光による光合成で生きています。しかし、畑で育てる作物は、土に含まれる養分だけでは足りません。そこで、不足する養分を補うものが肥料です。
野菜が生育するのに大量に必要とするものは、水素、酸素、炭素、窒素、リン、カリウムなどです。そのうち水素、炭素、酸素は水や空気から取り込むことができますが、それ以外は肥料から補います。これが「肥料の三要素」であるチッソ、リン酸、カリです。
このほかに植物の生長に欠かせない要素は、カルシウム、マグネシウムなどの中量要素、鉄やほう素などの微量要素を含めると16種類になります。
チッソは葉や茎の生長に欠かせない要素で、体を大きくする時にあらゆる野菜が必要とします。ホウレン草、小松菜、キャベツなど葉もの野菜には特に重要です。
不足すると、葉や茎が小さくなり、色が薄くなります。
多すぎると葉が茂りすぎ花や実の付きが悪くなり、病気が発生しやすくなります。
リン酸は新しい茎や葉、根の成長(生育初期)、また花や実を付ける時に欠かせない要素です。トマト、ナス、キュウリなど実を収穫する野菜、ダイコンやジャガイモなど根を太らせて収穫する野菜には重要です。
不足すると、花付き、実付き、生育も悪くなります。
カリウムはデンプンやタンパク質の生成を促進させる働きがあり、野菜の根の生長には欠かせない要素です。
不足すると、実や根を大きく育てる果菜類、根菜類の味が悪くなります。
カルシウムは植物内の細胞を丈夫にし、根の発育を促進する働きがあります。
不足すると、新芽や若葉から症状が現れ葉の先端が変色し枯死することがあります。
トマトの尻枯れ病はカルシウム不足が原因といわれています。
マグネシウムは光合成に必要な葉緑素を作ったり、三要素のリン酸の吸収を助けたりします。
不足すると下葉から次第に黄色く変色することがあります。
その他、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ほう素(B)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、塩素(Cl) など、作物の生長に必要な微量要素がありますが、要素欠乏を抑制し、元気で丈夫な作物を育てます。
これらは自然に土の中にある成分ですが、必要に応じ補給しましょう。